第4回愛知県臨床工学技士会学術大会
日時 平成20年6月15日(日) 13:30~15:10
会場 国立大学法人名古屋大学医学部附属病院 中央診療棟3階講堂
記念講演
「スーダン共和国における医療支援活動について」
講師:伊藤 嘉延 豊橋市民病院 臨床工学室
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3回「JACET AJINOMOTOAward」 受賞!
(第18回日本臨床工学会)
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学術大会抄録集
臨床工学技士の当直業務について ~開始後1年半を経過して~
瀧本さち、服部敏之、山鹿 章、開 正宏、蜂須賀章友、清水大輔、稲垣香織、
安 里奈、中井 悠二、宮田 完志1)
名古屋第一赤十字病院 臨床工学技術課
名古屋第一赤十字病院 医療技術部1)
【はじめに】
当院では、夜間および休日の医療機器トラブルの緊急対応を目的とした24時間勤務(当直)の要請が、看護部や救急部などから臨床工学技術課にあり、平成18年10月から臨床工学技士(ME)による当直を開始した。今回、当直開始後1年半が経過し、実際に携わった業務内容と今後の課題について報告する。
【実施内容】
平日は通常業務終了後から引続き翌朝まで、休日は24時間勤務を1名で行っている。業務内容は、人工呼吸器の病棟巡回点検など通常行い、その他には、一般病棟内での心肺蘇生時の人工呼吸器装着準備、経皮的心肺補助(PCPS)装置操作、持続的血液透析濾過(CHDF)を含む緊急血液浄化や緊急心臓・大血管手術などに対応している。
【考察・まとめ】
当直業務の開始により、夜間および休日の緊急呼出に対して迅速な対応が可能となった。しかし、緊急性の高い業務が重なった場合や休日の血液浄化業務などは1名では対応が困難なため、応援を呼ばなければならない状況が生じた。現在ME 11名中9名で当直を行っているが、当直日以外の呼出は負担も大きい。また、業者の立会い規制の影響などにより対応すべき業務が広範囲になりつつあるため、それぞれに対し、高度な専門知識が必要となる。そのため、当直者がすべての業務に対応することは非常に困難であると考えられる。これらの問題を解決し、業務を適切に行なうためには、当直者の増員を図るとともに更なる知識・技術の習得をしていくことが必要と思われる。今後は、これらの課題に積極的に取り組み当直を行っていきたい。
輸液ポンプテスタによる流量試験についての検討
長谷川静香、野川 渚、正木涼子、後藤和大、原 季実子、一柳 宏、
林 啓介、亀蔦 弘、志賀美子、大岩成明、錦 麗絵、有村友宏、佐藤有紀、林 裕樹
国立大学法人名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部
【はじめに】
定期点検における輸液ポンプやシリンジポンプの流量試験において、取扱説明書に記載されている方法では、一定時間にメスシリンダに溜まった水量で流量精度を評価するため時間を要する。
輸液ポンプテスタ(BIO-TEK社製IDA-2Plus:以下、IDA-2+)でリアルタイムに算出される瞬時流量、平均流量で流量を評価することにより時間短縮ができる。今回、IDA-2+を用い、輸液ポンプとシリンジポンプの流量が安定する時間について検討したので報告する。
【方法】
IDA-2+を用い、輸液ポンプ(TERUMO社製TE-161S)は流量200ml/min、シリンジポンプ(大研医器社製CSP-100S)は流量100ml/minの設定でそれぞれ10台ずつ測定した。IDA-2+のプライミングと輸液ライン・シリンジの装着確認を兼ねて、早送りを3ml行った後、運転開始と同時に25秒毎の記録を行った。
【結果】
輸液ポンプ、シリンジポンプにおいて立ち上がり特性はみられたが、輸液ポンプにおいては運転開始後2分で10台全てが誤差±10%以内の197.4±1.87ml/min、シリンジポンプにおいては運転開始後3分で10台全てが誤差±3%以内の98.86±0.92ml/minとなった。
【考察】
IDA-2+を使用した流量試験では、10回以上結果が得られるまで計測を続けるという報告もあり、25秒ごとの記録にて測定結果が得られる時間は約5分と置き換えられる。
今回の結果より、輸液ポンプ、シリンジポンプの運転開始5分以降は、流量も安定したことから、流量試験の評価として問題ないと考えられる。
【結語】
流量精度試験においてIDA-2+を使用し流量を測定することは、取扱説明書に記載されている方法に比べ、時間短縮が望めると示唆され、また、シリンジポンプの流量測定においても輸液ポンプテスタは有用であると考えられる。
閉鎖式保育器における保守点検の検討
篠田 悟、清水芳行1)、犬飼和哉、洞 博之、足立小百合、後藤考遵、竹上晴規、新美伸治
独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 臨床工学室
名古屋市立東部医療センター東市民病院 臨床工学センター 医療機器安全管理室1)
【はじめに】
保育器は、改正薬事法により保守管理が適切に行われなければ重大な不具合が生じる特定保険医療機器に指定され、当院でも外装点検、作動(温度制御,体温制御,酸素濃度制御)点検、電気安全点検を定期的に行ってきました。また、平成20年度診療報酬改定により、医療機器安全管理料(臨床工技士が配置されている保険医療機関において、生命維持管理装置を用いて治療を行う場合1月につき50点)が新設され、医療機器安全性の確保がより重要視されている。しかし、現在の保守点検状況では、AAMI/ANSI 1136-1197(保育器内部のノイズは60dBA以下、空気流速0.1~0.15m/sec)の規定内であるのか評価出来ず、安全性に乏しいため、音圧レベルおよび空気流速などを容易に測定が行える保育器テスタ(INCUTM)を導入し、安全性の向上を目指した。
【測定器および方法】
保育器テスタINCUTMは、温度センサー、相対湿度センサー、エアフローセンサー、音圧センサーを有し、各種パラメーターを連続的に同時測定が行える。
設定温度は31℃とし、測定器との間にはタオルを使用した。
【結果】
1)V-850(mean±SD)
ノイズ:55.7±4.1dBA、接触面温度:29.8±1.75℃、エアフロー:0.002±0.009m/sec。
2)V-80(mean±SD)
ノイズ:57.9±4.1dBA、接触面温度:29.2±1.9℃、エアフロー:0.02±0.04m/secであったが、エアフローのMax値が0.22m/secと規定外の保育器が1台あった。
【考察】
閉鎖式保育器に不具合が生じた場合は、異常な加熱による熱傷事故、保育器自体が発生するモーターやファンの連続的騒音や環境騒音による睡眠障害や聴力障害、温度制御や循環気流異常による体温低下などが考えられる。今回、INCUTMを使用することにより、台座と胎児との接触面温度、保育器内の温度や胎児が体感する空気流速、音圧レベルなどを連続的にモニターすることが可能となり、より確実な保守点検が行えたと考える。
【おわりに】
現在行っている点検方法に加えて、INCUTMによる各種パラメーターの測定を行い安全性の向上を目指した。
各種測定が連続的に行えるINCUTMを導入したことにより、閉鎖式保育器内の空気還流異常が発見でき、INCUTMの使用により安全性が向上したと考える。
当施設におけるペースメーカー外来の現状
西尾祐司、山田悌士、薗田 誠、東 和美、杉浦裕之、江向光希子、新居優貴、
相原有理、水野雄介、五藤輝彦
名古屋第二赤十字病院 医療技術部 第二臨床工学課
【はじめに】
当施設では、2001年度よりメーカー、業者サポート下で臨床工学技士によるペースメーカー(以下PM)外来業務を開始した。今回、PM外来の現状と問題点について報告する。
【体制・業務】
外来日は毎週火曜日、午前(9:00~12:00)はPM、午後(13:00~16:00)は植込み型除細動器(以下ICD)の外来を行っている。現在ペースメーカーが約80~90人/月、ICDが約35~45人/月を臨床工学技士2名、メーカー、業者1~2名で行っている。PM外来は各週メーカー別に分けて行い、それぞれ担当する技士が決まっている。新規・電池交換後は1ヶ月以内にチェックを行い、問題がなければ6ヶ月の間隔でのフォローアップとしている。ICDは、問題がなければ4ヶ月の間隔でフォローアップを行っている。業務としては、設定の確認、電池寿命の確認、閾値の測定などのプログラマー操作をし、モードなどの変更がある場合には、外来の医師の指示のもと、設定の変更を行っている。また、カルテ・PM手帳への記入や次回の外来予約を行っている。
【まとめ】
デバイスの高度化や設定の多様化、業者、メーカーの立会いが制限され、PM関連業務においてこれまで以上に技術、知識の習得に努める必要がある。また、現状では多い日で40人以上のPMのフォローアップを行うことがあり、人員もしくは外来日を増やすなどの対策が必要である。メーカーごとに担当者を決めることにより、プログラマー操作の習得が可能になった。今後は、担当している機種以外のプログラマー操作の習得や外来でのトラブルの対応、適切なフォローアップのためにはさらなる知識の向上が必要である。
トランジット方式血流計における各社チューブの流量比較
原 季実子、後藤和大、佐藤有紀、野川 渚、正木涼子、有村友宏、長谷川静香、
錦 麗絵、一柳 宏、大岩成明、志賀美子、林 啓介、亀蔦 弘、林 裕樹
国立大学法人名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部
【はじめに】
人工心肺システムにおいて、遠心ポンプを使用する場合、同じ回転数であっても後負荷の変動により流量は変化するため、流量計を用いて回転数を制御する必要がある。
今回、超音波トランジットタイム方式血流計(Transonic Systems Inc HT320:以下HT320)を用いて、各社3/8inchチューブの測定流量値について比較検討したので報告する。
【対象および方法】
7社10種類の3/8inchチューブを対象とし、実験用回路には、リザーバ (TERUMO CAPIOX RR-40)、ポンプチューブ(Medtronic CLASS Ⅳ3/8×3/32)、灌流用ポンプとしてローラーポンプ(MERA HAD-110W-4)を使用した。ポンプヘッドから20㎝後を測定部位として、対象チューブをセットし、灌流液には重炭酸リンゲル液を用いた。ローラーポンプ流量設定を2L/min、4L/minとし、HT320の測定値をそれぞれ3回ずつ計測した。
【結果】
ローラーポンプ流量に対する測定値は7種類のチューブにおいて5%未満、2種類のチューブにおいて5%以上、1種類のチューブ(コーティングチューブ)において10%以上減少した。
【考察】
HT320はチューブの材質・測定対象などの使用条件に合わせてあらかじめ校正されているため、チューブの弾性や可塑剤、コーティング材によって超音波伝播時間が変化し、誤差が生じると考えられる。
【結語】
今回の実験により、校正条件と異なるチューブを使用した場合、特にコーティング材などの影響を受けるため、使用時には注意が必要である。
PCPS下における血液浄化療法の工夫
安藤貴昭、中前健二、古田邦彦、近藤裕香理
安城更生病院 臨床工学技術科
【緒言】
経皮的心肺補助装置(PCPS)下での血液浄化療法を行うため、我々はPCPSにシャント回路を設け、その回路内の3連三方活栓両端を血液浄化療法のvascular accessとして用いていることを以前報告した。しかし、PCPSの灌流量や脱血・送血状態、血液浄化療法の血流量など様々な因子により再循環や脱血不良を起こす可能性があり、この問題に対し修正を加え検討したので報告する。
【方法】
太さの異なる3種類のチューブの中から2本選択し、シャント内圧を測定した。
【結果】
シャント内圧はシャント流出側のチューブが細いほど高値となった。また、シャント流入側のチューブが太いほど、シャント回路は高流量を得られることが明らかとなった。組み合わせとしては、シャント流出側よりシャント流入側を太くする場合が最もシャント内圧が安定した結果となった。
【考察】
シャント流入側を太くすることは高流量を得られるだけでなく、遠心ポンプからの引き込みによって生ずる陰圧を防ぐ働きもある。これにより、PCPS脱血不良時においてもシャント回路内に安定した血流を供給できるため、血液浄化療法がPCPSの脱血不良によって停止するリスクを防ぐことができる。また、シャント流出側の内径は細すぎると抵抗となりシャント回路内で再循環を引き起こす因子となる。逆に太すぎればシャント回路内が陰圧に傾く傾向がある。これらのことから、血液浄化療法に用いるシャント回路の組み合わせは、両者の特徴をふまえてシャント流出側よりシャント流入側を太くする場合が最も適しているといえる。
【結論】
これまでPCPS下での血液浄化療法は、PCPSの脱血状態により不安定になることが多かったが、今回の検討でより安全で効率的な治療を構築することができた。今後はこの手法を用いた症例を重ね、有用性と安全性を確立していきたい。
レーザ血流計を用いたPPIの治療評価
小原麻優 豊田美穂 峰澤里志 神谷裕介 浅井志帆子 馬場由理 田中佑佳 宇井雄一
山本英樹 丸山仁実 西村良恵 木下昌樹 西分和也
岡崎市民病院 臨床工学室
【目的】
近年、末梢動脈疾患(PAD)の治療として、薬剤療法をはじめとし外科的バイパス術や内科的インターベンション(PPI)と様々な方法がある。特に、PPI施行時において治療効果は造影による主観的評価が一般的である。今回、我々はレーザ血流を用いてPPI時の末梢の血流を測定し、客観的治療評価をし得たので報告する。
【方法】
PPI治療時にリブメリック社レーザ血流計サイバーメドCDF-2000を用いて足背及び足底にプローブを装着し、バルーンの拡張・ステント留置などの治療による血流の変化率を断続的に測定し数値化した。
【症例】
79歳男性。既往歴は閉塞性動脈硬化症にてH18年当院血管外科にてバイパス術施行。高コレステロール血症および高血圧を危険因子としている。現病歴は1週間前からの左足関節から下腿外足にかけて間欠性疼痛があり疼痛発作にて近医受診。ASO疑いにて当院紹介となる。下肢動脈エコー検査にて総大腿動脈以下の波形が狭窄後パターンをとり血流速も385.5㎝/sと高流速を呈し、理論上75%以上の狭窄を疑う所見が得られ、造影検査施行、PPI治療の適応となった。
【結果】
PPI前の測定値が足背血流5.5ml/min/100g、足底血流10.6 ml/min/100gに対して、バルーン拡張後の血流がそれぞれ3.9 ml/min/100g (変化率:-29.3%)、11.1 ml/min/100g (変化率:4.4%)が得られ、ステント留置後では血流が足背9.7ml/min/100g (変化率:76.3%)、足底17.3ml/min/100g (変化率:63.2%)と血流の上昇が見られた。
【考察】
バルーン拡張したにも関わらず足背で血流の低下が見られたのは、バルーン拡張による血管のリコイルと血管内皮の解離による血流低下が考えられる。またステントを留置したことにより血管のリコイルの是正と血管内皮の解離の修復されたことで安定した血流の上昇が示唆された。
【まとめ】
PPI治療時にレーザ血流計を用いて末梢の血流を測定し客観的に治療効果を評価できた。今後のPPIの客観的評価のみならず、透析領域におけるバイタル変動や末梢循環動態の測定など、他の治療に生かしていきたいと考える。
残血群、非残血群におけるソノクロット測定の比較検討
市川博章、小熊博康、八木一朗、喜多圭介、安達洸大、田中祐樹、森実篤司、佐藤晴男*
医療法人 名古屋記念財団 東海クリニック 臨床工学部 同内科*
【目的】
透析治療において、抗凝固剤適正量の判断は重要な要素である。そこで、血液凝固・血小板機能分析装置(以下ソノクロット)を用いて低分子ヘパリンを使用している維持透析患者の血液凝固をモニタリングし、比較検討を行ったので報告する。
【対象及び方法】
低分子ヘパリン使用者を対象に透析開始時(初回量投与前)、開始30分後、透析1時間目、抗凝固剤投与終了時、透析終了時にA側回路部より採血し、ソノクロットを用いてClot Rate(以下CR)を測定した。ダイアライザーの残血状況において残血群、非残血群と区分しそれぞれ比較検討を行う。
【結果】
CR値は、残血群、非残血群ともに開始時と比較し、開始30分後、透析1時間目、抗凝固剤投与終了時、透析終了時に有意な変化が見られた。CRの平均値(標準偏差) 残血群では、透析開始時 23.39(3.74)、開始30分後 17.1(3.78)、1時間目 17.72(4.07)、抗凝固剤投与終了時 19.48(4.49)、透析終了時 23.41(4.45)。非残血群では、透析開始時 22.1(4.89)、開始30分後 13.72(3.87)、1時間目 13.87(3.88)、抗凝固剤投与終了時 15.45(4.26)、透析終了時 19.97(4.83)であった。
【結論】
CR値を開始時に対し、約60%まで下降させる、あるいは、CR値を約15にて推移させることが、透析時の低分子ヘパリン使用時における適正量判断の指標になりうると思われる。
透析液清浄化の意義と重要性
小島由美子1)・伊神隆介1)・伊藤友一1)・長尾尋智1)・目叶裕史2)
メディカルサテライト岩倉1) メディカルサテライト知多2)
【はじめに】
透析技術の発達の歴史の中で透析液清浄化の重要性が認識されその技術も発展してきた。透析液の清浄化システムの構築や管理、運用、効果の検討が臨床工学技士の業務として認識されている。
透析液清浄化の臨床的効果の証明では政金らは透析液清浄化によりβ2microglobulin(B2MG)濃度の低下と貧血の改善,エリスロポエチン使用量の減少、血清アルブミンの上昇を認めたと報告し(1999年)、以降多くの研究がなされ発表論文も豊富に見られる。
この地方ではPushPullHDFの発祥地でもあり、多くの施設が透析液清浄化に早くから取り組んでいる。今回透析液清浄化(ループ配管)の効果について検討したので報告する。
【方法】
他施設の透析液清浄化システムの変更群、当院への転院群でHt,血清アルブミン、CTR,EPA使用量等について検討を加えた。
【結果】
ETは低値を維持していた施設においてもループ配管や配管材質を見直したシステムでEPAの使用量の減少とHb,Htの上昇がみられた。自施設例で転入後からEPA使用量の低下とHbの上昇やCTRの減少、透析中の血圧安定に効果が見られた。
【考察】
清浄化システムの方向性はループ配管や新たな熱湯消毒方法を視野に置いた新しい材質の開発採用がみられる。愛知県、静岡県下ですでに20施設以上、長野県下では全体の16.4%、5年以内の施工では47%の施設がループ配管システムを採用している(日機装社調べ)。慢性炎症自体が造血初期の段階で造血抑制すると考えられており、透析液清浄化システムの本来の目的は血液透析由来の炎症刺激の解消で慢性炎症症状の改善、食欲の増進、アルブミンの分解防止、栄養状態の改善などによる相乗的複合的効果と患者のQOLの拡大および生命予後の改善にあると考えられる。
【結語】
透析液清浄化は透析の質の向上による生命予後の改善効果であると考える。透析液清浄化技術は、臨床工学技士の責任ある重要課題である。
CAPD患者の体重管理の試み
―身体組成分析装置(MLT)の特性から―
安藤隆宏1)、犬飼康恵2)、柴田昌典2)、多和田英夫1)
光寿会 多和田医院1)
光寿会リハビリテーション病院2)
【はじめに】
我々は身体組成分析装置(MLT)を使用し透析患者の除水量の設定方法につき検討し、胸部レントゲン検査のCTRによる評価に比し臨床的に遜色なく応用可能であることを述べてきた。今回、CAPD患者につき検討したので報告する。
【方法】
CAPD患者の透析液注入前後ならびに肝硬変患者の腹水除去前後の体内総水分量(TBW)をMLTにて測定し比較検討を行った。
【結果・考察】
腹腔内へ透析液注入後に体内水分量(TBW)を測定するとTBWは注入量の10%程度しか変動(増加)しなかった。次に腹水が貯留し腹水処理再静注法を行っている肝硬変患者の腹水除去後のTBWでは、やはり20%程度の変動(減少)しかなかった。明らかに水分量が増減していたにもかかわらず電気的に測定できるTBWの変化量がわずかであることは、これらの患者での水分管理が単に算術的な体重の変動などでは評価しきれない可能性を示唆すると考えられ、ことに循環器系への影響の評価を含め今後の臨床的応用を検討中であり、その結果についても述べる。
身体組成分析装置 MLT-50を用いた透析患者の身体組成の検討
~多施設共同研究~
HOSPY サテライト統括主任 森實 篤司
【目 的】
微弱な多周波電流を生体へ流し電気抵抗を測定する多周波インピーダンス法(MFBIA法)は体水分検査、栄養学的情報収集が期待できるため、高齢化する人工透析の分野にも非常に有用と考える。そこで透析患者の身体組成解析を目的として、身体組成分析装置 MLT-50(積水メディカル社製)を複数施設で使用測定し、施設横断的にデータを収集、解析し検討を行ったので報告する
【方 法】
研究参加5施設の維持透析患者 368名(男性 202名、女性 166名)平均年齢 63.9±11.9歳 、平均透析歴6.3±7.3年の群における2007年2月に測定した透析終了時の各データを比較検討し統計解析にはSPSS12Jを用いた。
【結 果】
透析患者平均で除脂肪重量(FFM)におけるTBW比が67.0±3.7%、 細胞外液量(ECW)比 22.5±5.4%で、体脂肪率(%Fat)は全体で27.0±8.5%(男性24.0±8.5%,女性31.0±10.1%)であった。
【結 語】
今回使用した身体組成分析装置 MLT-50(積水メディカル社製)は簡便に身体組成を検討でき、昨年度より保険適応と活躍の場が広がることが予想される。今後本多施設共同研究を継続し、参加施設、測定数を増やすとともに、個々の症例検討を行うことで、体水分量の推移による基礎体重決定やMIA症候群などに代表される栄養障害等の評価を行うためのツールとしてコンセンサスを得る議論をさらに重ねたい。
※ 仮称)MLT研究会 参加施設
医療法人 知邑舎 岩倉病院、 メディカルサテライト岩倉、
メディカルサテライト知多
名古屋記念財団 東海クリニック
啓生会 春日井セントラルクリニック
光寿会 光寿会リハビリテーション病院
藤田保健衛生大学 中井滋先生
免疫グロブリン軽鎖(FLCs)に対する特異的吸着除去の評価
長尾 尋智1)、目叶 裕史2)、小出 正文2)、高田 幹彦3)、新井 次郎4)、押原 渉5)
知邑舎メディカルサテライト岩倉1)
知邑舎メディカルサテライト知多2)
知邑舎岩倉病院外科3)
株式会社医学生物学研究所4)
東レ・メディカル株式会社5)
【緒言】
免疫グロブリン軽鎖(分子量28000、二~多量体も知られる。以下FLCs)は、透析患者の血中に高濃度に蓄積し、患者の免疫不全状態の一因となっている可能性が示唆されている(Cohenら)。一方、多発性骨髄腫や一部の原発性アミロイドーシスにおいては、ベンズ・ジョーンズ蛋白質(BJP)として血中に蓄積し、腎不全を初めとする多彩な臨床像を招く病因蛋白質である。我々は最近開発された、タイプ別にFLCsが特異的に定量できる“Freelite”試薬FREELITE(superscript:TM) Human Kappa Free KitおよびLambda Free Kit(製造元:英国THE BINDING SITE社)を用いて、PMMA膜によるFLCsの吸着除去特性を検討した。
【方法】
多発性骨髄腫が原疾患で免疫電気泳動法によって高M蛋白質血症が認められた透析患者1名に、PMMA膜透析器BK-1.3P、BK-1.3Fを用いて3回の透析を行い、FLCsの除去率と吸着量を求めた。酢酸20%溶液で溶出させた膜吸着蛋白を280nmの紫外光OD測定法による蛋白濃度測定後換算した。FLCsの測定はMBL(医学生物学研究所)で行った。
【結果】
透析日のFLCs前値は、κ:21.4±0.57mg/L、λ:5.6±0.32mg/L、κ/λ=3.6~4.2を示し、κ型のFLCs蓄積を認めた(基準範囲κ/λ 0.26-1.65)。FLCsの透析前後値から求めた除去率は、κ37.3±0.57%λ43.1±13.1%であった。BK-F膜の総蛋白吸着量は280.1mg、BK-P膜172.7mgでF膜はP膜の約1.6倍の蛋白質吸着量を示したのに対して、FLCsに対しては逆に、BK-F膜40.6mg、P膜83.1mgでP膜が約1.7倍の吸着量を示した。
【考察】
PMMA膜によるFLCsの吸着については、Bradwellら(EDTA-ERA2006、Glasgow UK)によって、in vitroを中心に報告されてきたが、今回、1症例ではあるがin vivoデータが得られた。同じPMMA膜でも膜孔径によって吸着特性に差が認められた。FLCsを例に、PMMA膜による大分子量蛋白質の吸着メカニズムが示唆された。
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