【要旨】
ダイアライザー性能評価において低分子蛋白除去性能が挙げられるが,新しいターゲット物質としてFLCsに着目した.FLCsはこれまで多発性骨髄腫や原発性アミロイドーシスの多彩な病態と関連すると考えられているタンパク質であるがFLCsの日本での報告はなく,特に透析患者に蓄積していると考えられるためその除去特性を測定系を含め検討し発表し投稿した.概要を以下にしめす.
遊離免疫グロブリン軽鎖(分子量25,000,二~多量体も知られる.以下FLCs)は,透析患者の血中に高濃度に蓄積し,患者の免疫不全状態の一因となっている可能性が示唆されている.一方,多発性骨髄腫や原発性アミロイドーシスにおいては,ベンズ・ジョーンズ蛋白質(BJP)として血中に蓄積し,腎不全をはじめとする多彩な臨床像を招く病因蛋白質である.比較的高分子量の蛋白質であるために,膜への吸着や血液透析ろ過法によって,血中のFLCsを除去する試みもなされてきた.最近では,バーミンガムグループによって,血液ろ過膜による多発性骨髄腫患者のFLCs除去が検討され,21日間の連日集中血液ろ過による血中FLCsの低減が報告された.我々は最近開発された,タイプ別にFLCsが特異的に定量できる“Freelite”試薬FREELITE™ HumanKappa Free KitおよびLambda Free Kit(製造元:英国THE BINDING SITE 社)を用いて,PMMA膜によるFLCsの吸着除去特性を検討した.
他病態で観察されているFLCsの多様な存在様式が,透析患者においては未解明であり,神経症状等との関わりも不明である.透析患者の血中での同蛋白質の蓄積は,異化代謝の阻害と考えられ,透析患者におけるFLCsの測定の意義が,今後検証されるだろう.
透析患者のFLCs除去が有効としても,拡散やろ過のメカニズムで尿毒素を除去する多くの透析膜では,アルブミンの除去が過剰にならないように膜細孔径が調整されており,それ以上の分子量を持つ蛋白質の除去が期待できない.吸着で蛋白質を除去するPMMA膜の場合,アルブミンと同時にそれ以上の分子量を持つ蛋白質も多く吸着除去することがわかっている).大分子量蛋白質性尿毒素と位置づけられる可能性のあるFLCs,特に多量体FLCsの除去に対して,PMMA膜の吸着除去による有用性を今後検証してゆきたい.