2007年9月15日 国際血液浄化学会(ISBP)
今回、AJINOMOTO Awardの受賞により2007年9月15日から17日の期間、東欧チェコ、プラハで開催されました国際血液浄化学会(ISBP)に参加させていただきました。実に新婚旅行以来20年ぶりにヨーロッパに来たことになります。当時と違い、シベリア上空を通過できるとはいうものの乗継を含め15時間以上に及ぶフライトは旅慣れていない小生にはきついものでした。プラハは9月とはいえ、さすがに内陸部だけあって昼間でも気温は20度に届かず、身にまとう冬物のジャケットでさえ、とても肌寒く感じました。
プラハの旅
プラハの旅を経験された方はご存じかと思いますが、信号機の色が変わるタイミングはとても速く、地下鉄入口のエスカレータも日本では考えられないほどの速さで、老人が生活するには、とても難しいのではないかと感じました。会場のホテルまでの地下鉄では危うく同行者が貴重品をスリ盗られそうになりました。それでも街全体が世界遺産であるプラハは、まるで絵葉書の中に居るような感じで、小生をいっぺんに虜にしてしまいました。きっと誰もがこの街の虜になるのは間違いないことでしょう。
国際血液浄化学会(ISBP)
学会ではオーラルとポスター含めて55演題あり、そのうち日本人のエントリーは10演題と多く、高名な先生のお顔も多く拝見しました。
そんな中、今年の5月に名古屋で開催された日本臨床工学会で小生が座長を務めさせて頂いたランチョンセミナーでご講演されたオランダのバンダー・サンデ先生と思わぬ再会ができ、小生もサンデ先生も大変感激いたしました。学会でのエピソードは今回のAJINOMOTO Awardでもう一人受賞なされました尾崎氏に詳しくレポートをお願いいたしましたので、小生はプラハの透析施設見学が叶いましたチェコの人工透析事情も含めて簡単にご紹介させていただきます。
施設見学にあたり
州立カレル大学病院
施設見学にあたり日機装社の現地駐在員、現地医療機器会社の方々と同行で州立カレル大学総合診療科、ストラトフ透析センター副医長のシュワラ先生を訪ねました。病院はプラハ城からさほど遠くないプラハ市街が見渡せる丘陵地にあり、大学病院と思えない質素で古い建物は入口を探すのに苦労したほどです。
プラハで2番目に大きいといわれる当透析センター(22床)では90名の患者が3クールに分けられて透析を受けており、ほか10名のPD患者を抱えているとのことでした。この病院の透析の歴史は古く、今年で35周年を迎えたとのことで、それを記念して廊下に歴代の透析装置が展示されてありました。装置名は①トラベノール社製:RSP-7000(コイル型透析装置)②装置名不明のチェコ製装置③フレゼニウス社製2008C④ガンブロ社製AK-10,及び改良型オンラインHDF装置⑤ホスパル社製AFBF装置などが年代順に並べられていました。
プラハの透析について....
透析室は4人が1ユニットで別れており、その透析状況を見学させていただきながら、あれやこれやと1時間近く説明と質問で時間が経ちました。そこでの治療装置はガンブロ、フレゼニウス、日機装(DBB-05)でこれらは全て個人用透析装置でした。透析事情は日本とさほど変わらず4時間透析を基本とされ、短くすることにはいい印象が無いと話されていました。HDFは当初アルミニウムの問題がありその除去のために行われていましたが、現在では全患者90名の約20%が15~20L、後希釈のオンラインHDFを患者さんの状況により選択施行していました。
ガンブロ社製透析装置
治療中の患者は、靴は脱いでいるものの日本のようにパジャマなどに着替えることは無いとのことでした。当施設において透析導入の平均年齢は65歳であり、年間5~10人が腎移植を受けているそうです(10%生体腎移植、90%死体腎移植)。移植に際しての年齢制限はなく75歳の患者でも受けたことがあるそうです。
チェコでは1回のHDで150ユーロ、HDFで200ユーロの治療費がかかり、州立保険機関利用者が50%、残りが5~6社ある民間の保険会社を利用しているようです。また、保険による支払いで、HDFでは高い費用請求ができるものの、担当医は保険会社にHDFを使用する理由を説明する義務があるとのことで、HDF施行数はきちんと管理されているようです。チェコの透析患者数は、日本と比べ腎移植が多いため人口100万人に対して400人と少ないそうです。蛇足ですがチェコ全体で1300台の透析装置があるものの日機装社製は8台しかないとのことでした。
今回の視察で感銘を受けましたのは、25年も前からHDFに取組み、患者の管理を行い、そのシステムや考え方が現在の基礎になっていると感じたことであります。ヨーロッパの透析事情は日本のように統計がしっかりしておらず、現状は把握しにくいとのことでありますが、この視察は目の当たりに現状を知ることができ、本当に貴重な時間を過ごすことができました。我々のために病院も快く準備していただき、本当に長い時間色々なことを質問してしまいましたが、最後まで親切にお答えいただいた現地の関係者の皆様に感謝申し上げます。
最後に....
このような素晴らしい機会を与えて下さいました味の素(株)、ならびに今回の関係者の皆様に深謝いたします。
2007/09/17 プラハにて 柴田昌典
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